今日の朝日の朝刊で「市川沙央さんの受賞エッセー」を読んだ。「芥川賞は鵺のようだと思う」と始まるエッセーは、さすが『ハンチバック』の作者らしい軽快で、可笑しく、鋭く、ダジャレも入って、最後まで面白く読んだ。すっ飛んでるな!………と何故か、嬉しくなる。
「鵺」か………そういえば、舞踏家の土方さんがダンスを始める前、小説家を志していた頃のペンネームは「鵺」だった、と誰かから聞いたことがある。
私の初の土方体験は、半世紀前の草月の公演『あんま』、続いて『バラ色ダンス』。その時も、びっくり仰天、すっ飛んでるな!と、私は、我を忘れて舞台を魅入っていた。
「鵺」とは、猿の顔、狸の胴体、虎の手足、蛇の尾、「ヒョーヒョー」と気味悪く鳴く日本で伝承されてきた「妖怪」だそうだ。
土方巽の舞踏・市川沙央の文学・妖怪「鵺」……… 嘘と本当、裏と表、闇と光がくるくる回り………透明迷宮の中で…………私のカラダとコトバが時を超えてつながった。