「感謝」に感謝。

つい三日前、いつも楽しみにしている朝日の文化欄の「どこからか言葉が」を切り抜いて、毎月第三日曜に掲載される谷川俊太郎の書き下ろしの詩を読んだ。居間に差し込む暖かな冬の陽射しを背中に受けながら『感謝』という詩を読んだ。いつも、壊れていく自分の身体を見つめながら、あっちこっちに揺れ動く気持ちが詩人の言葉に触れて………あぁ、これでいいんだ………となぜか、ほっとした。

今日は雨の日。朝、叡が用意してくれた朝食を一緒に食べて、外に出た。おお寒い!でも、厚いダウンの防寒コートを着ているから平気だ。いつもの凸凹道を見詰めながら、ひたすら歩いているうちに、些細なことで叡と口喧嘩する。だんだん失われていく自分の体に腹が立って、叡に八つ当たりしてしまった。失敗。老老介護の身でありながら、まだまだこの世の人間を卒業できないとは、情けない!
深く垂れ込めた雨雲の彼方で、カラスが二羽、あっちから、こっちから、がなり合っている。

「感謝」という言葉をここにおいて旅立たれた詩人は、冬の青空でにこにこ笑いながら、わたしの失敗をみて長閑に愉しんでいるだろう。

詩人の「感謝」に心から感謝!