消費税が8%に引き上げられる前に、耐震対策もできない古い家を壊して新しくした。それまで、私の居場所はキッチン。子供たちが自由に行き来する場所に座って、目を見張る。みんなで食事をする。縫い物も、洗濯物を畳むのも、夜、子どもらが寝静まると、そこで、家計簿を付け、本を読み、手紙を書き、日記をつける。キッチンがわたしの場所だった。
新築の家には、玄関脇にわたしが待望していた「小さなわたしの部屋」を作った。リウマチで立ったり座ったりが不自由になりつつあったわたしにはとても快適な空間。嬉しかった。
さて、ゆっくり本が読めると思いきや、あきらの海外ツアーの仕事で、ほとんど家を空ける日々が続き………わたしの待望の部屋も物置と化して、今に至る。やっぱりわたしの居場所は「キッチン」だ。

みんなが忙しい年の瀬。掃除も洗濯も食事作りもできなくなったわたしは、読みたかった本を「小さなわたしの部屋」から持ち出してきて、キッチンに座って衰えた視力を頼りに読む。わたしの年の瀬の1日。