ギリシャ悲劇『オイデュプス王』を観に行く。

昨夜「パルテノン多摩」になおかさんの車に乗せてもらい、ギリシア悲劇「オイデュプス王」を観にいくことができた。一昨年同じ劇場で初演を観た。今回はその再演。16人のコロス役にダンサーとしてミツタケが参加している。
ミツタケから「ヒサコサン、よく筋書き読んで………複雑だからね………長いから眠らないように」………という助言をもらい………真っ白の「パルテノン多摩」大ホールに向かう。車椅子席に落ち着き、集音器をつけ………しずかに明かりが客席から舞台にフェイドチェンジする。舞台上には天井に向かって細くなっていく階段がみえる……舞台が明るくなり………コロスたちの踊りがはじまり……主役のオイデュプス王の長台詞の声が場内に響き渡ると………観客の視線が舞台に集中し………劇場空間が一つの球になっていくよう……その温かい球のなかで、不覚にもわたしは夢を見た……ローマのパンテオン宮殿の丸天井から差し込むひかり………B.C.600年から円形劇場で演じられ…‥今日も演じられるギリシャ悲劇………すごい!なんてぬくぬくしながら………集音器に入ってくる演者たちの台詞を聞いたり、時々夢をみたりしながら………コロスたちのうねりのような熱の踊りで終わった。面白かった………思い切って観にきてよかった!
古代ギリシアでは、煌めく星空のもと野外の円形劇場で上演したという。現在のアリーナで行われるエンターテーメントのようなものと言えるかな。みんながますます困難になっていく日常の人間関係から解放されて、みんなが思い思いに愉しめる時間。
古代から現代まで人間関係の苦しみ、かなしみ、喜び……は変わらない。

そして、3年前の今日2月24日、ロシアのウクライナ侵攻が始まった。
その日、初めての天使館公演『牢獄天使城でカリオストロが見た夢』の出演者全員揃っての通し稽古の初日だったが、出演者複数にコロナ感染者が出たために公演初日の前日まで全員ディスタンス、稽古なし。公演前日の3月2日に保健所の公演許可が降り、無事に公演を実行できた。幸いだった。

あれから3年、ますます人間関係は難しくなっていく。

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