ポーランドに行ってきた。9月29日の夜中に成田から飛んで約18時間9月30日のうっすら夜が明ける頃、ショパン空港に着陸。叡の「今、ショパンを踊る」公演の主催者アニータさんが車椅子を携えて迎えてくれた。
国分寺の家で、毎日キッチンに座って中庭の杏の木を眺めて暮らしているヒサコサンは遥かなたに消え去り、今、私はワルシャワにいるんだ!と確信する。
タクシーの車窓から見える木々………葉っぱの一枚一枚が何と柔らかい色合いなんだろう! ふっと、懐かしいな……という想いが心によぎる。
短い滞在期間の間に、叡の公演、森下隆さんの土方巽「疱瘡譚」の映像と講演、ショパン博物館見学(折しもショパンコンクールが始まった)。クラクフに移動し「マンガ館」見学(偶然、アンジェイ・ワイダ夫人に出会い、みんなで記念撮影)、夕闇迫るクラフクの旧市街の石畳を車椅子で散策。翌日の早朝6時マイクロバスでクラクフを出発、アウシュヴィッツ=ビルケナウ(Das Konzentrationslager Auschwitz-Birkenau)に向かう。
ポーランドに着いた時は、まだ色付いていなかった木々の葉も美しく色づき、垂れ込めた灰色の雲の下で、私はダウンのコートに身を包む。「白樺の谷」(Birkenau)美しい地名だ。
その昔、ドイツに移住した年の夏、子供たちをKinderlagerに入れた。日本の林間学校のこと。強制収容所・子ども収容所……その時、ドイツ語って凄いなと思った記憶が蘇る。映像でヒットラーの演説に熱狂するドイツ人たちを観たことがある。まるでアイドルを見る眼差しで。
「ことば」の力は善にも悪にもなり得る!
あっという間にポーランドから戻り、相変わらず、我が家のキッチンの椅子に座って杏の木を眺めている私。言葉にできない何かが自分の体に流れはじめたのを感じる。
アウシュヴィッツを訪ねて、ちょうど1週間経った。今日は1時間朝の外歩きをして、叡とデニーズで朝食を摂る。私の何かが変わった………。
