素晴らしい青空。今日は「勤労感謝の日」。朝食を府中街道沿いのデニーズで、叡と。
朝の会話………自分以外の家族全員をイスラエル軍の爆撃で殺されたアラブの男性が「自分はイスラエル人を憎まない。なぜなら、憎しみの感情は病いだから」と言ったという話の流れから、叡が「若い頃、土方さんと話していて、彼が何気なくひょっと『ぼくは人を憎んだことはないんだ、カサイクン』と言っていたことを思い出したね」………そういえば、かつて私も土方さんと木造建てのアスベスト館の大きな稽古場の真ん中で、土方さんと二人だけで対峙した時があった。土方さんは毛布にくるまりパイプ椅子にあぐらをかいて座り、真正面から私の目を見つめた。まだ20代だった私はドキドキで、何の話しをしたのだろか、すっかり忘れてしまった。でも、その時の私を見つめるの土方さんの瞳の奥が、子どものように澄んでいて、ちゃめっ気たっぷりだったのを忘れられない。
そこには、いつも稽古の人たちに見せる恐い土方さんではなく、やさしく温かい、気の弱い土方さんがいた。
今、小学生の暴力がふえている、と新聞で読んだ。その理由は、自分の思いを言葉にできないから。
亡くなった詩人の吉岡実さんは、けん玉の名手で、パチンコが大好きだった。あの「四人の僧侶」の大詩人、鳥の目をもつ(私の勝手な思い込み!)吉岡さんが、けん玉に夢中になっている姿を思い描くと、嬉しくなり、愉快になる。
けん玉、おはじき、メンコ、お手玉………私の子どもの頃は、いっぱい遊びがあったのに………。
気がつくと、中庭の残り少ない杏の樹の葉が、晩秋の西陽を受けて金色にかがやいている。もうじき食事介助のヘルパーさんがきてくれる。だんだん自分のことを自分でできなくなってきた。みんなに励まされ、支えられて生きている。