染色家の志村ふくみ先生が百寿を迎えられたという。なんと、おめでたいことだろう! もう久しくお目にかかっていない。「草木染めと織」という自然作業と、「色とは?」という理念の認識作業の困難な二つの道を追求されていく先生の後ろ姿は、女のわたしに多くを気づかせ、多くを与え続けてくださる。感謝してあまりある。いつまでもお健やかに美しい日々をお過ごしくださいますように。
つつましい眼差しで見るがよい、
永遠の織女の絶妙の技を。
踏むひと足で動く千の糸、
かなたこなたへ梭が飛び、
糸と糸は相会して流れ去り、
一打ちは千の結び目を作る。
織女はそれを乞い求めてきたのではない。
彼女は永劫の日から経を張っていた、
永遠の織匠が心やすく
緯をうちこむことができるようにと。
ゲーテの『色彩論』(木村直司訳)から。