新宿の紅い火は消えない

状況劇場の唐十郎さんが亡くなられた。中嶋夏もついこの間、突然メキシコで………山海塾の天児牛大さん………高橋巖先生………みんな、同じ時代の空気を吸って生きてきた人たち!

1960年〜70年代の学生運動と相俟って、アングラ芸術の中心地、歌舞伎町のお花園神社、風月堂、ゴールデン街、新宿文化劇場(アートシアター)………私が育った歌舞伎町はいつも溶鉱炉のように熱くグラグラ揺れていた。

1967年に、我が家から歩いて10分の花園神社で唐さんの紅テント劇場を観た。真っ赤なテントに入ってびっくり!………花園神社は私の遊び場だったのに………突然異界が降りてきて………目の前で繰り広がれるリズミカルな台詞、動き………に魅了されてしまった。

風月堂さん(父の商売仲間なので、父はいつもそう呼んでいた)にはいると、珈琲をすすりながら、タバコの煙の中で、時を忘れて口角泡をとばしている面々がいて…………新しい出会いがあり、新しい何かが生み出されて………予感にあふれていた。

あの熱いうねりの時代も鎮まって………新しい時がやってきた………でも、私のカラダの奥にあの時代の熱が燠火のように残っている。