杏の木と踊る。

洗濯物を取り込みに中庭に出たヘルパーさんが、杏の木を眺めて「あっ、アプリコットがなっている」と言ったので、キッチンから首を伸ばしてみたけど見えない。ベランダに下りることはできない。残念!でも、最近さまざまな鳥が杏の木に訪れて、チュチュチュと忙しく枝と枝の間を飛び交っている。アプリコットの甘い汁を飲みにくるのだな。暑い夏日、喉が渇くもの。今日は熱中症の人が病院に運ばれたとテレビのニュースで言っていた。

夕方、叡は依頼された日本女子体育大学のダンス部の振り付けに出かけた。さぁ、独り。夕陽を受けて気持ち良さそうにサワサワと風にゆれる緑の葉を眺めていたら、一緒に踊りたくなって……40年前、子どもたち(今はおじさんたち)が、シュタイナー学校で使っていた「シュトックマー」のWachsfarben(クレヨン)を持ち出して、踊っている絵を描いてみたら………

こんな変な絵になった。

日が暮れたので、アドリエンヌ・リッチ『女から生まれる』の続きを読もう。もう杏の木は闇のなか………静かな夜。。