東京大空襲の日

1945年3月10日の東京大空襲の日から80年。その前年の暮れに生まれた私は物心ついた頃、母や姉たちからその日のことをよく聞かされた………お父さんは軍に狩り出されて風船爆弾を作りに工場に行っていて留守。家には母さんと90過ぎの寝たきりおばあちゃん、10歳のお姉ちゃんをかしらにあなたも含め子どもら5人………遠くから空襲警報が聞こえてくると……生まれて3ヶ月のあなたと寝たきりおばあちゃんを座敷に布団を並べてねかして、母さんと姉兄4人は庭に造った小さい防空壕に急いだの…………上の姉ちゃんは上の兄ちゃんをおんぶして、下の姉ちゃんは一人で歩き、母さんは下の兄ちゃんをおんぶして………いっぱいいっぱいだったの………おばあちゃんと赤ちゃんのあなた。ふたりだったら淋しくないよね……と思って………狭い防空壕の中で母さんと4人の子どもは抱き合って……座敷に置いてきた2人の無事を必死で祈りながら………恐ろしい焼夷弾の炸裂音を耳を塞いで聞いていた………低空飛行で攻撃してくるB29の連隊がやっと去って行き………辺りが静かになると急いで外に出て……あった、家が、よかった!………でもお隣さんは焼夷弾の爆撃を受けて燃えている……もし、我が家だったら、あなたは今ここにいないの………哀しい話だけど………。

そんな話から80年の時が過ぎた。祖母も父母も2人の姉ももうここにはいない。

80年の間今日まで、戦争技術、武器………恐ろしいほど発展し止まらない………相変わらず人間同士の殺し合いは続いている。