純白の紫陽花

紫陽花が美しい頃になると……けん玉とパチンコとコーヒーが大好きだった詩人吉岡実さんと………我が憧れのお姉さま的存在(自分の勝手な思い込み)の矢川澄子さんのことを想い出す。

2002年の梅雨のころ、巣鴨の日本蕎麦屋の老舗で行われた吉岡実さんの3回忌の席で陽子夫人が「実(みのる)のことをみっちゃんと呼んで仲良しだったので、夫婦はあまり仲良しでない方がいいですよ」と参会者たち笑わせて、故人の温かさを偲ばせてくれた。その同じ日の新聞に「矢川澄子さん黒姫の自宅で自死」と載ったのを読んで……翌日急いで叡と黒姫に向かう。懐かしい澄子さんのご自宅の………広い玄関に入ると………ご遺体はもう荼毘に付されていて………白い布で包まれたお骨箱の前に大きな純白の紫陽花が一輪あり……どなたかが「澄子さんが挿木した紫陽花が今年初めて咲いたのです」とそっと教えてくれた。

梅雨の日………紫陽花が咲きはじめると………澄子さんが遺してくれた宝石のような美しい日本語に触れたくなる。

今日はポール・ギャリコの『七つの人形の恋物語』から………。