蒸し暑い日

蒸し暑い日が続いている。梅雨になって楚々として咲き出した紫陽花も次第に勢力を拡大し、隣に植っている紫式部やユキヤナギは陰でじっとしている。冷房の効いたキッチンのガラス戸を開けると、ムワァとした生暖かい水気をたっぷり含んだ空気が押し寄せてきた。よくみると、堂々とした紫陽花たちの後ろに百日紅の桃色の花が、一生懸命に首を伸ばしている。よかった!これから盛夏にむかって、もっともっと咲いておくれ。

3年前の夏の日の記録

2021年7月21日
カートを押して 地面に映る
自分の影に話しかけながら 歩く。
痩せぎすの 影のカラダ
遠い記憶が 今のように 喋りだす。

日傘をさした母さんと 手をつないで 
一緒にあるいた 一本道。
午後の太陽が 鎮守の森に降り注ぎ
黒い木陰が 行手の道を区切っている。
あの真っ白な光の向こうが
今日いく おばあちゃんのお家。
たのしさだけが いっぱいの
おかっぱ頭の 女の子の頬に 汗が滴り………

空のどこかで 鳥たちが 囀っている
耕作機の音がして 湿った土の草いきれが 辺りにたちのぼる
壊れたカラダに すぅーと 光の風が通り過ぎた。

これでいい よくやったね と 私は影に話しかけた

時間も空間もなくなり カラダもコトバも 
宇宙空間に 溶けていく。