昨日、車椅子で、軽井沢にやって来た。
8年前の七月の末、オイリュトミストのひろみさんを夏の青空に送った後の八月三日も、アキラと私は軽井沢にいた。
そして今日八月三日、ホテルの前に青緑の玉虫色をした黄金虫を見つけた。
私は、あっ、ひろみさんだ!と思った。
アキラは、黄金虫は神さま!と言った。
夏の夕日を受けて、小さなカラダが美しく青と緑にチラチラと光っていた。上を見上げると日没前の西空が、一面薄紫色に染まっていた。あっ、ひろみさんの色! 8年前の夕空と同じ色…
もう、二度と来られないと諦めていた軽井沢に、アキラに車椅子を押してもらいながらやってこられてよかった。ひろみさんが待っていてくれたんですもの、嬉しかった。