午前中、叡に介助されて、タクシーで北口の眼科に行く。眼圧を測ったり、視力検査したり、瞳孔を開いて、水晶体をのぞいたり………結果は、今緊急を要する事態ではないので、今まで通りの目薬で………ということになった。クリニックを出ると、まだお昼には程遠いい。暑くも寒くもない陽気なだ。タクシーを使わずに家まで車椅子で歩いて帰ろうと叡が言って、途中、大型スパーマーケットの中を覗いたり、懐かしい昭和を思いださせる北口商店街の裏道を通り、表通りに出ると目の前に近代建築の国分寺駅があった。駅ビルの中は、縦横無尽にさまざまな人々が忙しく行き交っている。電車に乗る人、買い物をする人、旅行に出かける人、会社に行く人、待ち合わせをする人…………みんなそれぞれの目的地に向かって動いている。かつてわたしもその動きのなかにいたのだ。心の中で駅の雑踏を歩く自分を思い描いてみた。何時迄も人々の動く姿を見ていたい、と思った。今日、私は車椅子からその様子を活き活きとした風景を見ているように見ている自分がいた。