アルテミス

東京芸術劇場のシアターイーストで、「黒田育世とBATIKダンサーによる日替わりデュオ!」と銘打ったBATIKの公演を観た。まあ凄かった。昨年お母さんになられた育世さん、もう、以前の「おどりが踊りたいの」と叫び続ける女の子には戻れない。
ストラビンスキーの「春の祭典」の強烈な曲に乗ってダンスする彼女に、私は、いつの間にか、数年前ナポリ国立考古学博物館で観た古代メソポタミアのエフェソス神殿の女神アルテミスを重ねて観ていたような気がする。
ナポリ国立考古学博物館のディオニソスの間に置かれた漆黒のアルテミス像は、身体に多くの乳房と動物たちをくっ付けていた。ローマの友人は、それは乳房ではなく、牛の睾丸でもあると言い、アルテミスは、命を生み出す大地母神のような存在なの、と付け加えた。
また、ギリシア神話では、アポロンの双生の妹で、美しく若い、処女の狩人。ローマ神話では月の女神・・・などと話してくれた。
終演後、叡と一緒に楽屋を訪ねると、そこに現れたのは、エフェソスの女神ではなく、ニコニコ明るい顔をした、いつもと変わらない育世さん。傍らに、まるまるとした赤ちゃんを抱っこしたジロさん。この光景も,なんと素晴らしいことだろ!
秋のはじめ、幸先のいい、実りに恵まれた一日だった。