カラスとともだちになる。

自分の巣に寝ながら、自分の両腕を上に伸ばして眺めてみた。カラカラでスカスカのねじれた細い枯れ枝の先に、奇妙に成長したサボテンみたいな手がついている。ずいぶん身勝手に酷使して結果だ。今まで私のためによく働いてきてくれたなぁ、と急に愛おしくなってももう遅い………と自己否定に落ち込みかけると…………さぁ、足を上げて、足首を回して………無心になって、枯れ木のような体を動かし始めたヒサコさん。

数学者の先生が「一」について…………人が立ち上がると、四百幾らかの筋肉が、とっさに統一的に働く。それが「一」というもの。「一つのまとまった全体」というような意味。「一の中に全体があるとみています。あとは言えないのです」…………と言っていたっけ………などとぼんやり思い浮かべながら…………ああ、そうか。私の体の中に全体があるのだ………私の体の中に宇宙がある………なんて凄いことか…………いつの間にか、自己否定から浮かび上がって………カラダの体操をしている。

また、電線に止まったカラスがこっちをみている。

悪魔の使いか、天使の使いか知らないけど、カラスさん、私の水平生活のおともだちになってくださぁ〜いね。