サッカーの話

サッカーについては全く無知の私でも、ベッケッンバウワー、リットバスキー、ルメニゲ、シューマッハ………などの名前ぐらいは知っている。1980年代、家族でStuttgart に住んでいた頃、3人の息子たちのお喋りによく登場した名前だからだ。彼らも、今や、50歳前後のオジサンたち。でも、3人よると、何時も子どもに戻る。

先日、珍しく我が家に集った3人。サッカーの話題で盛り上がった。

………週末になると、よく、ネッカースタジアムに行ったよね………そうそう、1番安い3マルク席…………5ペニッヒ(5円)の辛子パン(1番安い、ソーセージ無しのホットドック)を食いながら…………ヘェ〜そんなパンあったの?(と私)………結構美味いんだ、これが…………サインをくださいと手紙を書いて、受付のおばさんに渡すと、忘れた頃に、チーム全員のサインとアドレス入りの写真がきた!………早速、3人でリットバスキーの家に行って玄関のベルを押すと、奥さんが出てきて………そうそう、本人はいないけど、ぼくたち一人一人にサイン入り写真をくれ………嬉しかったよね………それから、ネッカースタジアムの試合後に、外に出てきたベッケンバウワーにバッタリ。覚えてる?思わず手を出し、握手しちゃたね。おまけにサインも貰った。けどあの時レイジはいなかった。なぜ?……ぼくは、学校でバイオリンの発表会だったんだよ。家に帰って話を聞いて、ぼくだけサインをもらえなくて、悔しくて悔しくて、一晩中ゴネたら、アキラさんが出てきて、どうしたと思う………よし、オレがサインしてやる、と言って、紙にーFranz Anton Beckenbauerーと、スラスラと書いてくれた。それでぼくのゴネは収まった……さすがアキラさん「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンばりだ!………と、チカシとミツと私、今初めて聞いた話に呆れたり、笑ったり、話は尽きない。

今年は、初めて日本がドイツに勝ったとか。サッカーファンにとって、それがどれほ凄いことなのか、私には分からないけど、みんなの話はこよなく懐かしく、愉しく、嬉しい。

そこで思い出した生前の澁澤龍彦さんのこと。「戦争の勝ち負けは、スポーツとかジャンケンがいい」と、言われていたとか⁉︎   アキラ父さんの偽サインの発想もさることながら、戦争の勝敗をスポーツとかジャンケンで、という発想も面白い。さすがシブサワさん!

悲しいことに、今日のスポーツ界も何もかも暗雲飛び交う曇空。全き青空にお住みのシブサワさん、さぞかしお嘆きだろう。