トゥールーズへ

フランス滞在も残り3日。いよいよ日本かぁ、と考えると、うれしいような、さみしいような、恐ろしいような、複雑な気分になる。
昨日、アンジェからトゥールーズにやって来た。照明のオーグスタンも一緒なのでありがたい。アキラと二人だけだったら、情けないことにオオゴトなのです。アンジェからナント駅、そこで飛行機に乗りかえてトゥールーズまで、およそ1時間。アンジェからトゥールーズまでの間に、晴れ、曇り、風、雹、雨・・・・。なんと忙しい天気の変わりよう。ナントで大粒の雨と風で吹き飛ばされそうになりながら、駅前のタクシーに乗ると、外の強風とは裏腹に、滑るように走り出した車の中で、ドライバーとオーグスタンの会話が始まった。フロントガラスを叩き付ける雨粒を眺めていると、遠くの空の雲間から薄日が射し、青空が見える。また、強い雨。車の中では、オーグスタンとドライバーの二人のおしゃべりが続いている。まるで、美しい室内楽を聴いているようなフランス語の響きの優しさが耳元に心地よい。幸せなひととき。
トーゥルーズに飛行機が到着したとき、オーグスタンは「ヒサコ、ここはアンジェより寒いよ。上着を着たほうがいい」と言ってくれた。本当だ。外に出ると真冬のような寒さ。もう直き春を迎えようとしていたアンジェとは大違い。南フランスとはいえども、ここはピレネー山脈の麓ですものね。
照明のオーグスタン、音響のマチュー、通訳のユウコ、制作のエステル。私の子どものような年の若いみんなが、不良品で修理不可能になった私のカラダを支えてくれている。ありがたいこと。