バーバラからの手紙

外出規制が緩和されても、相変わらず、高齢者及び基礎疾患のある人は要注意。コロナに感染したら、重症化する恐れあり、という文言がどのニュースにも、見え隠れする。
高齢者+基礎疾患有り+身体障害者 の私は、さてどうしたものか。外側の日常と私の日常がだんだんと離れてくるなぁ……。
バーバラ・ベルガーから手紙が来る。40年来のドイツ人の親友。不思議なことに、私の心に、ふっとバーバラが過ぎると、数日後、彼女から電話がある。いつもそうだ、いつも。日本語が全くダメな彼女と片言のドイツ語の私とが、どうしてそんなに長話できるの?と周りのものが呆れるほど、私たちは握り締めた受話器を離さないで、長話?する。私の拙いドイツ語一言で、バーバラは私の言いたいことをドイツ語で的確に言ってくれる。地球の向こう側で、電話線を通して、私の内側をまっさらに受け取ってくれる。なんと爽やかなことだろう。
私たちは、シュットガルトのイゾルデ・クルツ通りで、たまたま五年間のお隣同士だったにすぎないのに……。あの頃、森を歩きながら、随分色々なことー愛について、男と女について、結婚について、教育について、信仰について、経済について、病気について、東洋と西洋について、人間について………などなどーを語り合った。今でも、その不思議な時間が、生き生きと蘇る。気がつくと、遠く離れているバーバラと地下水でいつも繋がっている。
今回の手紙も、バーバラはコロナの日々をどうしているかなぁ〜と思い描いていたら、届いた。もう、会えないかもしれない。寂しいなぁ、でも、寂しくはない。

バーバラの文字を読むのも難しい。暫く眺めていると、霧が晴れていくように、意味が透けて見えてくる
バーバラの文字を読むのも難しい。暫く眺めていると、霧が晴れていくように、意味が透けて見えてくる