ヒサコサン ますますノロマになっていく。

夏日のような陽気。もう桜は終わってしまった。

2日前、カズコさんが「史跡公園の枝垂れ桜、綺麗よ。今日が最後かもね」と教えてくれた。でも、史跡公園まで歩いていけるかな⁉︎。

つい7日前までは、史跡公園の一本松からその先の、ぶんバスの停留所まで行けたのに………。

相変わらずノロマのヒサコサン。ますますノロマになっていく。はて、困ったものだ! と思いつつも、ココロは意外に明るい。

私の主治医は「痛いのは生きている証拠」といつも言う。そうだよね、と、単純な私はすぐ納得。頭の中でマルグリット・ユルスナールに教わったピラネージの牢獄の版画と自分のカラダを重ねたり………それにしても、骨が壊れていく痛みに付き合っていくのは耐え難いなぁ。

爽やかな芽吹きの季節がやってきたというのに、毎日毎日、多くの人の命が失われていく。カラダをもって、やっとこの世に生まれてきた幼い子たちの命までも。辛いなぁ……痛ましいなぁ………。

朝、重たい頭をやっと持ち上げ、そろりそろりベランダに出ると、

ピィーピィピィピィ………ホーホケキョ ホーホケキョ ………

聴覚が怪しくなってきた私の耳にも、はっきり聞こえる。嬉しい。

みんなに似たり寄ったり……みんな同じところに行くのですから

どこかで誰かが呟いた。そうだよね。自分の命は死に至るまで自分のもの。

殺されたくない。

さあ今日も一日、たのしく、美しく、ゆっくり、止まらないこと。