雨の日が続いて……。
ポスト・コロナの生活形態についてのニュースが多くなってきた。もう今までのような生活は戻らない。慣れ親しんだ習慣、感覚、価値観、人間関係のあり方……着なれた服をやめて、まったく新しい服を着る。私にできるだろうか?
40年前の今頃、私たち(アキラと私)は、突然(彼らにしてみれば)三人の息子たちを、あたかも、うららかな春の陽が差し込む小川で、愉しく泳いでいた淡水魚たちを、突然、網で救い上げ、塩辛い海に投げ込むようにドイツに投げ込み、塩水の海にやっと慣れた頃、予告なしに、また淡水の川に戻した………。ずいぶん、身勝手なことをしてきたなぁ、息子たちにとっては、さぞ迷惑なことだったろう、などと、今更ながら自分に呆れたり……。
たえまなくあちらへこちらへ
花盛りの枝が風に揺れ動く
たえまなく ゆらゆらと
私の心が子どものように揺れ動く
晴れた日と曇った日のあいだを
欲望と諦めのあいだを。
花々が風に散って
枝が実をつけるまで
心が幼年期に飽きて
おちつきを得て こう告白するまで
不安にみちた生のたわむれは
喜びにみち むだではなかったと。
「花盛りの枝」 ヘルマン・ヘッセ/岡田朝雄訳