メルケル首相

去年の夏、数十年ぶりに家族全員でStuttgartを旅行した時、建物の様子は面影があったが、街の雰囲気、人々の様子は随分トゲトゲして、前と違うな、というのが息子たちの感想だった。確かに、街の中心のケーニッヒ通りを歩くにも、昔のようなワクワク感がない。メルケルさん一人頑張ってどんどん難民を受け入れているからか、外国人が多いな………でも、待って。私たちだって、外国人。40年前、突然、家族五人でドイツに住み始めてからの5年間を支障なく暮らせたのは、ドイツ政府のおかげだったと思い出したてごらん。住民票を出すと直ぐに、3人の子ども手当てが銀行に振り込まれ、その上、住居手当も振り込まれた(それも毎月)。その時ばかりは「神の恩寵❣️」と喜んだ。もし、その援助がなかったら、私たち家族のドイツ生活は一ヶ月と持たなかったでしょう。
ドイツに住む多和田葉子さんのデジタル新聞記事を読む。
………今コロナで国境を閉鎖され、外出が規制されているベルリンの状況をまるで戦争中の光景だと落ち込む人もいるが、今実施されている規制の底を貫いているのは『全人類の健康を願う』という、ナチス時代とは全く逆の精神である。………
そして、多和田さんは、メルケル首相のことを「新たに生じた重い課題を背負い、深い疲れを感じさせる顔で、残力をふりしぼり、理性の最大公約数を静かに語りかけていた」と書いて結んでいる。
ドイツで出会った友だちを想うと不思議と元気が出る。さあ、緊急事態宣言で規制のかかかっている間に、今度こそ、トーマス・マンの「魔の山」を最後まで読もう。

朝焼け
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