ユミちゃんのこと。

今朝目覚めると直ぐ、光のなかに秋の匂いがするぞ……灰色つづきで止まったままの秒針が僅かに傾き、もう後戻りはしないだろう。

小学5年生以来の友だち、ユミちゃんが電話してきた。

「ヒサコちゃん、あんた、歯がなくなったんだって? 今マーケットに来ているの。美味しそうなお粥さんがあるの。送るからね」

ユミちゃんと友だちになって70年近くなるが、今まで何回会っただろうか。どんな話をしただらうか。結婚し、子育てし、お姑さんに仕え、家計のために働き………時々、とんでもないところ、例えばアフリカのサバンナから絵葉書が送られくる。いつも一人でツアー旅行に参加する人。私へのお土産は決して忘れたことがない。会う機会のない私たちなので、会える折には、数回分の旅のお土産を持ってくる。私にはとてもできないなぁ、と思いつつも、お互いの生活には触れず、いつも心のどこかでお互いを案じながら、同じ時間、時代を歩んできた。

今でも、「ユミちゃん」「ヒサコちゃん」は変わらない。