リルケ『若き詩人への手紙』

もう40年以上、痛み止めも含めて、さまざまな薬を服用し続けてきたので、果たしてその薬が効いているのかどうか、やめてみないとわからない。1ヶ月前、お医者さまの指示でリウマチの特効薬を半分に減らすことになった。じわじわと効果(?)が現れてきた。朝、カラダが冷凍のおむすびみたいに固まって、動かない。どうしよう………やっぱり薬を減らしたからかな………でも待てよ………いつもの怠け癖から………寒いから………かもしれないぞ。さぁ、頑張って、重たい砂袋のようなカラダを縦にして………お風呂にチャポンと浸かり………ああいい気持ち!………やっと私の1日が始まる………ノロノロと。

キッチンでアキラが作ってくれる朝食を食べる。苺ミルクと柔らかいフレンチトースト。庭にさす早春の光は美しく……時が止まる……いつまで?……今日も、世界は昏い。

昼下がり、去年の春から見捨てられている私の小部屋の床にリルケの『若き詩人への手紙』があった。懐かしい詩人の言葉に触れる。

「蜜蜂が蜜を集めるように、私たちもすべて物から最も甘美なものを取集めて神を造るのです。卑小なもの、目にも立たぬものからでも(それが愛から行なわれるものでありさえすれば)私たちは始めるのです。仕事や、そのあとの憩いから、沈黙や、ささやかな孤独の喜びから、私たちがひとりで、共同者も追従者もなしにするすべてのことから、私たちは私たちの祖先が体験できなかったと同じような意味で、私たちが体験することのない神を造るのです。」   (高安国世訳)