八巻美恵さんの『水牛のように』を読む。

久しぶりの秋の青空。朝まだき、よちよちと歩いてキッチンまで出掛けていき、先日頂いた八巻美恵さんの『水牛のように』開くと、「塩をつける」という文章がとびこんできて………

「食べようと手に持っただけで、すでに酸っぱい。すぼまった口の中には唾液が充満しくる。梅干しではありません。夏みかんです。」

………えっ、夏みかんに塩をつけて食べるって?とビックリした。先を読み進めると、美恵さんは、7、8歳の頃「超」がつくほど夏みかんが大好きで、小皿にもった塩をたっぷりなすりつけて、一個まるまるひとりで食べて「唇は真っ白に膨れあがり、歯はギンギンに………でも、少女の想像上の麻薬の効果のように全身は爽快に」なったそうだ。わぁ、すごい! 美恵さんらしいなぁ。私とさほど歳が違わない美恵さん。温かくて、優しくて、ちょっぴりクールで、いつも私を安心させてくれる。

美しく、可愛らしく、温かい手触りの美恵さんのご本『水牛のように』。読んでいると美恵さんの日々のかけらが呼吸するように私の体に入ってきて、全身爽快になる。これから毎日、ねぐらを抜け出し、よちよち歩いて出かけていき、キッチンで美恵さんに会える。うれしいなぁ❣️