再び夢

 「左側に、大きな鉄の棒で形造られたひとの顔。右側に、同じく鉄の棒で形造られれた大きな人体。」
「私の隣に二歳年上の姉がいる。右の人体に向かって、私は姉に説明する。『この鉄で造られた人体においては、ひとつひとつの臓器はそれに対応する神の働きに結びつている。』人体の臓器はひとつひとつ神と結びついていると。そしてさらに、姉に向かってこう言う。『この鉄の人体に”彩色”するために、自分は生きて行きたい』と。」
「次に左側の鉄の棒で造られた顔を見ると、”ボディーサトヴァ”と書かれている。」
「目の前に川が流れている。その川を渡ると、視界が広がり、彼方に三本の樹が立っているのが見える。新緑に輝く豊かな葉に包まれて。葉は風に揺れて美しい。あまりの美しさの故、涙が出る。」
しばらくして目が覚める。何度も今見た夢の光景を、こころの中で反芻する。
最近、夢の中で涙する事が重なる。夢は現実以上の現実で、時に、一生を左右するほどの影響力がある。
今日はOFFfなので、午後久子と散歩にでる。近くのゴチック様式の教会に入ると、パイプオルガンが雷のような轟音を響かせて、石の会堂内に響き渡っている。しばらく木の椅子に座って、皮膚が震えるような音のシャワーのなかで二人とも黙す。それから何度も行ったアンジェ城へ、自然に足が向き、1000年前の中世にワープ。凍えるような空気のなか、部屋へ。