冬の昼下がりの闖入者

今日の昼下がり、キッチンのテーブルで制作のあゆみさんにメールを打っていると、中庭からおばあさんの可愛い顔がこちらを覗いているのが見えた。誰だろう? ガラス戸を開けると、「玄関が閉まっているんだもの。こっちから入れてね」と言う。
「えぇ……と、どなたでしたっけ‼️」どこかであったような気がするけど、私もボケたのかしら、思い出せない。
「ここに嫁に来たスギヤマエイコの母親よ」「えええっ…。うちはカサイでスギヤマではありません」と言ってはまたものの全く通じそうにないので、ひとまずお上がり頂いてお話を伺うことにした。その可愛いおばあさんの言うことには、名前はスギヤマシズコ(スに点々ではなくツに点々と注意された)さん。大正11年3月生まれで、今95歳。お昼を食べて、大田区から電車でここまで来たそうだ。意識もカラダも何もかもシャンとしていらっしゃる。お話も面白いので、ついつい暖かな冬の日差しの中で二人でおしゃべりをしてしまい……。日も暮れてきて、寒くなってきた。お家の方はさぞ心配しているだろう。どうしよう。結局は小金井警察のおまわりさんに保護してもらい、大田区ではなく東府中のご自宅までパトカーで送ってもらった。今頃は、ご家族とニコニコされているだろう。かわいいおばあさんだったな、と思いつつも明日は我が身か、と思わず身を引き締めた。
今年5月から始めた 笠井叡 迷宮公演「高丘親王航海記」もいよいよ大詰め。臨月の産みの苦しみの時。
だんだん体の自由がなくなってきたが、新たなものが生まれつつ途上に居られることは何よりのこと。
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12月の朝日