冬の朝

リウマチ患者にとって、朝は辛いものです。寒い冬の朝は、言うまでもありません。
一晩暖かな布団の中に、身体を静かに寝かせておいたお陰で、目覚めると、身体は外気の寒さで固まったゴムホースのようになっています。そこで、お風呂場までこわばった身体を運んで、温かいお湯につかります。すると、物体のようだった身体が、活きた身体に戻っていきます。頭の中も動き出します。
朝湯の中で、たとえば、セッションハウスの伊藤孝さんから頂いたお年賀状に「昨年末の政府の仕分け作業で、今年の公演活動は厳しくなりそうですが、そんなことに負けていられませんね」というような力強いお言葉があったのを思い出したり・・・
本当にそうだ。ダンサーは何も持たなくても、肉体というダンスの素材を持っている。ダンスの原点を考えるには、今がチャンスだ!などと、ダンサーでもない、おまけにリウマチで変形した手足の持ち主である私が、独り合点したり・・・
「芸術家は制作する作品の素材として、憧れ、希望、想像力、つまり全世界をもっている」とカフカの恋人ミレナが書いていた言葉が浮かんできたり・・・
身体いっぱいに想いを広げながら、私の冬の一日が始まります。