加藤典洋さんの「9条入門」を読む

去る5月16日に亡くなられた加藤典洋さんの「9条入門」を読み終え、今、以前に書かれた「敗戦後論」を読んでいる。加藤典洋さん、などと親しげに書いてしまったが、実際に面識があるわけではなく、ご著書をキチンと読んだこともなく、時折朝日新聞の紙面に書かれた文章を読んでいたくらいなのに、今になって急にー加藤典洋の著作ーに惹かれる自分って何なのだろう⁇  と相変わらず、私の気付きの遅さに呆れるばかり。
加藤さんの「9条入門」の物語は、『出生の秘密ー敗戦から憲法制定まで (1945〜47年)』から始まる。ということは、1944年の暮れに生を受けた私の始まりにぴったりと当てはまる。75年生きてきて、今、振り返って思うと、子ども時代に、戦後の復興  復興で、大人達が子どもたちもそっちのけにして異常に沸き返っていた頃の新宿の西大久保周辺の空気を吸って育ったということが、私の原点にあり、それ以降、昭和から平成、令和と時代が進んでも、私の心の奥に燠火となって静かに息づいていたのが、この度、この「9条入門」の「ねじれ」の構造に触れて、私の心の中で未解決だった私の「ねじれ」が、再びパチパチと燃え出してきたようだ。
自分って何だったのだろうか? という、いたって素朴な疑問ーもう西の空に太陽が傾きかけているいるという今になってー向き合うことになってしまった。