受難の日

明日は聖金曜日、キリストの受難の日。そして、三日後復活祭を迎える。昨年10月に亡くなった義母の納骨式を今週末の日曜日復活祭の日に執り行う予定だったが、コロナ戦争のため延期となり、お母さんのお骨はすっかり我が家に落ち着いている。
「今の世界の現実を見ないまま穏やかに旅立たれてよかったね、お母さん! 大正、昭和、平成、令和、と一世紀を生きぬいたお母さんも、決していい時ばかりではなかったね。関東大震災や第二次世界大戦、洞爺丸で寅雄さんを失い………大変だったことでしょう。でも、今の戦争は、ちょっと違うみたい。地球上の体をもつ人たちすべてに例外なく目にみえない敵が襲ってきているの。性別、歳、国家、民族、宗教………の違いなんて言っていられない。今、あなたがいたら、何と仰るかしら? すべて神さまの思し召し、と、いつもの口癖かも。それにしてもお母さん、いい時に、神さま召されてよかったね」
あどけなさはわたしたちの気持ちをやわらげる。
わけもわからないまま子供が叱られて、とてもしょげている。
子供は喉が渇いて、ふるえながらわたしにコップを差し出す。
お飲み、わが子よ、おまえの頬はとても汚れているぞ。
              「和解」フランシス・ジャム(手塚伸一訳)

ライラックの若葉
ライラックの若葉