9月の台風シーズンがやってくると、いつもアキラのお父さんを想い浮かべる。昭和29年9月25日の朝、学校の行きがけに書斎の窓の下からチラッとガラス窓を通して写る父親の影を見たのが、自分が父を見た最期だった、と随分前にアキラが話してくれた。

そのあと、札幌高等裁判所の判事だったお父さんは、出張のため函館に向い、洞爺丸に乗り…………台風による海難事故に遭い……亡くなった。享年41歳。

法律家の義父とらおさん。厳格で正直で超頑固オヤジ。飲み会で大声で安来節を歌うので、同伴の義母きみこさん、冷や汗たらたら………会いたかったな。天使館も我が家も、生前とらおさんが用意しておいてくれた土の上に建っている。

夜「カラマゾフの兄弟」の続きを少し読む。イワンとアリョーシャの会話から……

「ねばねばする春の若葉、青空が、おれは大好きなんだ。そうなんだよ! 知恵や論理なんて関係ないんだ。はららたと魂で愛するんだ。この生まれる力、この若い力を愛するんだよ………」

「はらわたと魂で愛するんだ」なんて、すごい! 私もそうありたいな………美しい日々でありますように。おやすみなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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