夏の記憶

やっと 夏が来た! でも、テレビのニュースは、日に日に増えるコロナ感染者の数の話ばかり。後期高齢者は、誰にも会わずに家に篭っていなければならないの………?
子どもの頃の夏休みは、楽しかったなぁ。
「夏の記憶」ーノートからー
 朝
 目覚めると
 大きな夏の青空が
 私の、リウマチで
 歪んだカラダの内側に
 するりと入り
 七十年前の朝が
 今日の朝と重なる
 幼い目に映った
 あの青空
 顔より大きい くし形のスイカ
 甘い香りが あたりに漂い
 小さな口から
 溢れ出る
 赤い果汁が
 洗濯したての 白い
 木綿のワンピースの胸もとを
 真っ赤に染める
 容赦なく
 照りつける
 真夏の太陽の光
 夢中でスイカに食らいつく
 汚れを知らない子どもらの皮膚を
 じりじりと 焼く
 ひまわりの黄色い花弁に 目が眩み
 ミツバチがぶんぶんうなる
 スイカの種 一番遠くに飛ばしたのは
 だあれ?
 明るい声が
 彼方の世界に木霊する
 無限の時間が 凝固する
 畑の中の
 野ウサギの滑走
 一匹の蜥蜴が
 焼けた石の上を
 過った
 未来から
 記憶の風が吹いてくる

田舎のおばあちゃんの家の縁側で、いとこたちとスイカを食べる。
田舎のおばあちゃんの家の縁側で、いとこたちとスイカを食べる。