夕方の悪魔

真夏の昼下がり。キッチンの椅子に座って、中庭の杏の木が風に揺れているのを、いつまでも眺めている、飽きないで。

いつの間にか、壊れかかった私のカラダも、揺れる杏と一緒に揺れている。

揺れる 揺れる 揺れる……囁くように 笑ってるように お喋りしているように‥…

気がつくと、もうずいぶん光が薄くなり。杏の木も黙って静かにしている。

昼と夜の間。幽かな風が一枚の木の葉を吹き落とし………、

神の不在ー杏の木の中に小さな悪魔が見え隠れ…………

突然、あきらの声「こんなに暗い所で何してるの? さあさあ、パンがゆを作ってやるから、食べろ! 腹減っただろ」ですって。

杏の木とダンス。お腹が空いた。枯れ木のカラダに美味しいパンがゆ。嬉しい。感謝。