手紙(1980.12.2) コルマールからバーゼルへの旅

それにしても、今年(2016年)のお正月は、何と暖かなお正月だったことか!この一年、みんなの心も、このように温かでありますように。
1980.12.2 夜
今やっと、3人がベッドの中で、スヤスヤ寝たところです。今日の昼間は、ミツの友達のフィリップとトビアスが来て、一緒にハンバーグのランチ。午後はお向かいのクヌーツと森でそり遊び。一日が終わる頃はくたくたです。今日はとても冷たい日でした。11月の異常とも言える暖かな日々も、山崎さんと二人で旅行に出る28日の朝から、急に冷え込み、巨大な雪将軍の到来です。でも私たちは、コルマール、そしてバーゼルの2泊3日の旅に、山崎さんの車(通称ヤマザキクルマ)で出発しました。どこまでも続く雪原の中を、アウトバーンにのって、ひたすら南へ、南へと向い、コルマールのウンターリンデン美術館に着き、イーゼンハイムの祭壇画の前に座った時は、ふたりとも念願が叶って、唯々感激。言葉も交わさず、ただボォーとしてしまいました。11月の末の冷たい雪の日なので、冷えきった石の会堂には人気もなく、回廊をあるく私たちの足音だけが聞こえる、静かなひと時でした。(とにかく凄い! このキリスト磔刑図。子どもたちを家に残して、思いきって独り離れて出掛けてきて、本当によかった)その日は、アルザス地方の山間の村のホテルに一泊し、翌朝、次の目的地、ベックリンの「死の島」があるバーゼル美術館に向いました。バーゼルの街は、丁度クリスマス前のアドベントの第一週とあって、とても賑やかで、雪で真っ白になった旧い美しい町並みを歩いて楽しみました。ベックリンの「死の島」は、以前画集で見た時、なぜかとても魅かれた絵で、いつか本物を見たいと思っていたので、とても嬉しかったです。そして再び、アウトバーンにのってStuttgartへ。夜遅く全てが凍てついた中を、我が家に戻ると、子どもたちはもうスヤスヤ。お母さんからのお手紙が届いていました。ありがとう。
また書きます。取り急ぎご報告まで。 久子