春の訪れ 

「須賀敦子の手紙 1975-1997年 友人への55 通」を読んだ。須賀敦子さんの私信がそのままの形(便箋、絵葉書、AEROGRAMME、美しいお菓子の包み紙、切手etc)で印刷されていて、友に語りかける言葉がブルーブラックのインクで、会話をしているように、呼吸するように、流れるように、美しく、綴られている。
読書のこと、仕事のこと、草花のこと、日々の生活のこと、嬉しいこと、悲しいこと・・・よもや一冊の本になって多くの人の目に触れるなんて、生前の須賀さんは思ってもみなかっただろう。
「須賀敦子さぁ〜ん、彼方の世界から見ていてくださぁ〜い。『国は病みつづけけていますが・・・日差しが春の訪れを知らせています』とあなたに書いた詩人の言葉に、ふとイタリアの南の野に咲きはじめるプリムラ想い出したと、お書きになったのは、1997年2月18日の2回目の癌の化学療法を受ける前日の手紙でしたね。そしてその1年後の春、あなたは旅立って行かれました。
今日は、2017年1月27日金曜日です。世界は病みつづけていますが、日差しは春の訪れを知らせています。昨秋家の庭に植えた球根の芽が、緩んだ霜柱の間から世界を覗きはじめました。もう直ぐ春がやってきます。では、つつがなく」