晴れの日が続くと曇りの日が恋しくなる………

目が覚めると、雨が降っていた。「櫻の樹の下には」公演の前からも終わってからも、昨日まで、ずっと晴天続き。水温む春どころかお鷹の道の清流も枯れて、水の中の小さな魚たち、地中で春の光を待っている蟲たち、道端の雑草、庭の草花………みんなほっとひと息、よかったね 。
ときどき、自分が突然いなくなってもおかしくないな、と思ったりする。転倒による頚椎損傷で、クスリを喉に詰まらせて、誤嚥性肺炎で、コロナに感染して、地震に巻き込まれてetc. とはいえ、このような事を頭の中で思うだけで、身体にその実感は無い。
いつの間にか、乾涸びていた庭の土は、しっとりと雨水を吸って蘇っている。
あっ、白と茶の大きな野良猫が、堂々と庭を横切った。耳を澄ますと、春を待ちわびる地中の虫たち草花たちの歓びの声が聴こえ……雨も上がり、オレンジ色の薄日が差してきた。
ワクワクと身体が嬉しがっているな。さて、カートとマスクで散歩に出よう。

もう そこまで春はやってきた………
もう そこまで春はやってきた………