琵琶湖合宿

今年4月9日、叡が胃癌の診断を受けてから、ほぼ半年が過ぎた。叡の癌のおかげ、と言ってはなんだが、今では、三分の一になった叡の胃袋を上手く満たすには、どんな食べ物がいいのかなど、料理上手な友達からの様々な食材や、アドバイスを頂いて、私のもっとも苦手な分野のお料理に挑戦しながら、新鮮な発見に喜んだりしている。叡の癌のおかげで気づいたことが、もうひとつ。それまで、フツウに「ガン」と発していた単語が、急に身内に乗り込んで来てからというもの、世の中に「ガン」という単語が如何に多く渦巻いていることか、ということに気づいた。新聞、雑誌、単行本、「ガン」の叩き売りのように「ガン」という単語が飛び回わっている。これぞガンの治療法、ガンの撲滅、ガンからの生還、ガンの花道・・・。ガン患者は、ガン情報でガンじがらめにされてしまう。冗談を言っている場合ではない。
昨日から、琵琶湖湖畔での合宿にやって来た。全国から30人以上の方が参加している。「オイリュトミーにより、日本国憲法をカラダの中から、創りだす」が今回のテーマだ。今日問題の憲法改正のことを考えながら、ふと「人は生まれた瞬間から、死をカラダの中で育て始める」というフレーズを思い出した。人は、生きる権利とカラダの中で豊かな死を育む権利があるのに、そのどちらも同時に奪ってしまう戦争は、最悪の行為で、絶対に許せない。たとえ、病気といえども、自分のカラダの中の死を育む時間を与えられることは幸いではないか。