頭上に 極上を。

憎らしいほど暑い夏日がやっと収まって、爽やかな秋の日が始まった。
昼下がり、打ち合わせに来たハイウッドの高樹さんが「これ」と言って、大きな包みをアキラに差し出した。開けてみると、なんと、今アキラが一番欲しがっていた純白のパナマ帽ではないか。
2年前の夏、シシリー島のエリチェで、あまりの暑さに耐えきれず、道ばたで1000円で買った白い帽子が気に入り、冬でもかまわず愛用していたが、ついに先日へなへなになって、捨ててしまったという。いくらイタリアで買ったとは言え、夏の日よけの麦わら帽にすぎないのだが、型がどことなく粋なのだ。最近では、半ばアキラのトレードマークになっていた白いパナマ帽。それがなくなったとあっては、アキラの心中思いやられるなぁ〜と案じていた矢先のこと。
包みの中に、「あきら先生受賞おめでとうございます。BATIK一同心よりお祝い申し上げます」と書かれた薔薇の花形のメッセージカードと、Borsalinoの説明書が入っていた。どうも、今年の貰った、芸術選奨の文部科学大臣賞のお祝いのつもりらしい。若い女性のダンサーのみなさんの優しい心と勘のよさに感動する。
実は、昨年11月アキラは古希のお祝いに旧天使館の面々から、やはりBorsalinoの紳士帽をプレゼントされた。でもこれは焦げ茶の冬用。これで、夏冬いつでも安心になった。うれしいこと!!
曰く「頭上に 極上を。」