11月のBROOLYNつづき3

私たちに部屋を貸してくれているエミリーのおばあさんは、台湾の人だそうだ。どうりで、シゲさんが初めて彼女を紹介してくれたとき、思わず日本語で挨拶しそうになったほどの親しみを覚えた。確か国分寺のどこかで出会ったことあるような・・・。そのエミリー「日本には、たった一週間だけしか行ったことがないの。東京と北海道の旭川と。北海道は雪が降っていて、とてもすてきだったわ。日本は大好き。食べ物もおいしいし。一週間じゃあ足りないわ。今度は彼と一緒にもっとながく行くわ、ゼッタイに」と最後を強調して言った。
エミリーの彼・ジュリアンは、お母さんがイギリス人。お父さんがケニア人。彼の彫りの深い顔は、浅黒く、黒い瞳が印象的だ。ふたりは、来年の2月にBROOKLYNのどこかにレストランをオープンするという。そのために、今は毎日店の改装をしている。今朝ジュリアンが早く出かけたのは、ニューヨーク中を回って、細かい物を選んでくるためだ。
そうかぁ。それでガッテン!私たちに大きな部屋を貸して、自分たちはリビングルームを簡単に仕切った狭い部屋(しかも、一方がベランダに面していてガラス張りなのに、カーテン無し)を寝室にして、少しでも資金をためよう。夢を実現するためには、少々不自由な思いも厭わない。なんとも頼もしい。
叡がワークショップをしているCAVEでも、コロンビア人のヒメナと日本人のシゲさんが一日中休む暇なく動き回って、スタジオを切り盛りしながら、自分たちの作品創りをしている。
世界的な経済破綻で、お先真っ暗な世の中でも、様々なところで出会いがあり、その出会いが様々な生き方を生み出していく。