8月の今頃、いつも思い出すこと。

8月の今頃、いつも思い出すこと。

37年前の、あの痛ましい御巣鷹山飛行機墜落事故が起こった日の数日後、私は、成田空港まで送りに来たアキラとミツタケに「じゃあね、おばあちゃんの言うことをよく聞くのよ。またね………」といってから………果たして「またね」があるだろうか? 不安が過ぎる………でも仕方がない。決めたことは決めたこと………エィ、前に向かって進め!と心を決めて、できるだけ元気にいつも通りに「国分寺まで、車の運転、気をつけてね」と言い放ち、レイジを連れて、チカシのいるStuttgart に発った。

その日のフランクフルト直行便の機内は、バカンスをヨーロッパで楽しもうという日本人客で溢れていた。およそ12時間の飛行。フランクフルト空港にランディングすると、共に同じ時間を共有した運命共同体の仲間たち。大きな拍手と安堵の空気が機内いっぱいに広がった。私はその時、ふっと、見知らぬもの同士の命の繋がりを感じたのを今でも覚えている。

今日は終戦記念日。鳥のように大空を飛びたい、という人間の夢から人間が作った飛行機が、神風特攻隊の零戦機となって、多くの人間の命を奪うとは!

1944の暮れに生まれた私は、いつもこの日になると、亡くなった母がよく言っていたことを思い出す。

……空襲警報がなり、ヒューと焼夷弾が落ちる音が聞こえてくると、生まれたばかりのあなたと寝たきりのお父さんのお母さんを布団に寝かして、上のお姉ちゃんは下のお姉ちゃんの手を引いて、私は下のお兄ちゃんをおんぶして、上のお兄ちゃんの手を引いて、庭に作ったちっぽけな防空壕に逃げたの。お父さんは、徴用でいないし………あなたもおばあちゃんもあなたと一緒だったら淋しくないだろうと………。

後日、その時お隣の家に焼夷弾が落ち全焼したと聞かされた。幸い家の人たちは無事だったという。

今や地球星は大混乱。人と人の命のつながりも次第に感じなくなり、人間の夢から作った物体から逆襲され………空飛ぶカラスさん、どうすればいいのぉ〜? と聞いてみた。カラスさんは飛びながら何か言っている………そのままでいいんだよ〜。77年間、よく無事に生きてこられたことに感謝しながらね……と、言っているように私は思い込む。

 

ミンミンゼミが近くで鳴いている。カナカナが聴こえてくると、さぁもう秋だ。