11月のBROOKLYNつづき2

次男のれいじから「東京も急に冷え込んで、急遽布団を買いました」というメールが入った。寒いのはニューヨークばかりではない、冬ですものね。
昨日(12日)は、叡のワークショップがお休みなので、午後から散歩に出かけた。前日の寒さを想定して完全装備の態勢で外にでると、案外と寒くない。地下鉄のベッドフォード駅を目指して、ベッドフォード・アベニューを10ブロックほど、のんびりと歩く。初冬の穏やかな日差しのもとで、通りはウイークエンドの昼下がりを楽しむ人たちで賑わっている。11月の最終木曜日が感謝祭だという。それが過ぎると、町は一斉に降誕祭を迎える準備に取りかかるのだろう。途中、露天の古本屋さんで、ブランチ・フィッシャー・ライトの挿絵付きのマザー・グースの絵本を見つけた。
ベッドフォードの駅から地下鉄に乗り、3つ目ユニオン・スクウェアで乗り換え、グランドセントラルを通り越して、59番ストリート駅で降りた。地下鉄の階段を上ると、既に高層ビルの窓ガラスは夕陽を受けて、オレンジ色に輝いている。それから、マンハッタンを南北に走る有名な通り―3rdAve、レキシントンAve、パークAve、マジソンAve、5番街=を横切って、セントラル・パークまで。
実は、その日の朝「ボクは、やはり詩人だからね。セントラル・パークの紅葉がハラハラ散るのがみたいなぁ〜」と叡。「ハハァーン、リルケ張りね・・・」と内心思わず納得する。という訳で、セントラル・パークまでやって来たものの、公園内はどこもかしこも人だらけ。疲れ果て、ベンチに座り、木々の間から空を見上げると、薄紫から灰色そして藍色へと大都会は静かに暮れていく。二人とも寡黙になり目を瞑って、しばらくの間、遠くに響きわたる車のクラクションの音を耳にしていると、嗚呼、再びマンハッタンにいるんだ、と懐かしい思いが湧いてきて、時の流れの不思議が、疲れを忘れさせてくれた。
すっかり陽も落ちて、べッドフォード・アベニュウの帰り道、行きの露天の古本屋で見つけたマザーグースの絵本を7ドルで買い、叡は酒屋でイタリア産ワインを求め、ブロードウエイ・アベニュウ110の、エミリー&ジュリアンとの共同部屋にたどり着いて、無事ニューヨークの休日は終った。