11月のBROOKLYN

今日は、11月10日(木)。ニューヨークに来て4日目だ。日付け変更線を通過してケネディー空港に向かう機内で、「現地は摂氏7度」というアナウンスがあった。やっぱり想像していた通りの寒さだ、と覚悟を決めて空港に降り立ち、迎えにきてくれたCAVEのシゲさんと外に出ると、ライトブルーの冬空のもと、空気はひんやりと気持ちがいい。それほど寒くなく、ああよかった!
2年前、叡と一緒にCAVEのワークショップに来たのは、確か梅雨の頃だったと思う。その年の初め、オバマさんがアメリカの大統領に就任した。「ブッシュが替わって、ニューヨークの空気も軽くなったよ」と、その時何人かの友人から聞いた。それからわずか2年しか経っていないのに、今や、日本に於いても世界に於いても、解決不可能な政治、経済、文化の諸問題が雪崩の勢いで襲いかかってくる。
そんな状況の中で、BROOKLYINにスタジオを持つシゲさんとヒメナの活動は、2年前よりますますエネルギシュだ。様々な国の若者たちが、CAVEの空間で自由に創造作業を繰り広げている。目まぐるしい時の変化の中にあっても、着々と豊かな空間が育っていく。なんと力強いことか!!
マンハッタン島の隣ブルックリンは、シゲさんが10数年前に住み始めた頃は、無法地帯だったそうだ。今では、摩天楼を誇るマンハッタンとは異なり穏やかな住宅街だ。そんなブルックリンでも、今回新しい高層ビルをいくつか見た。
「旧い建物に囲まれたブルックリンのよさが、だんだんなくなるのはさみしい」ポツリとシゲさんが呟いた。
「いやいやシゲさん、外がどんなに冷えても、内は燃え続けて欲しいわ」とわたしは、心の中で呟いた。