2008.5.14

もう梅雨になったかのような、冷たい雨の日が続いている。
ミャンマーのサイクロンの直撃、中国四川省の大地震、天災とはいえ、数日間でおびただしい人の命が失われてしまった。いよいよ地球が内から崩れ始めたのだろうか。自然の悲痛な叫びのようにも思える。
新聞には、下敷きになった家族を案じて泣き叫ぶ女性、子どもの遺体の傍らで悲しみにくれる両親などの痛ましい写真が大きく掲載されている。
そのページの裏には、60年来、今でもレバノンの難民キャンプで厳しい生活を続けている老夫婦の記事が載っていた。60年前の5月15日を彼らは「ナクバ(大破局)」と呼ぶそうだ。これは人災である。
数年前、エドワード・サイードの評論集『オスロからイラクへ』を読んだ。和平への激しい感情、二つの民が一つの国で共存できるという強い信念が、サイードの悲痛な叫びとなって行間から聞こえてくる。実際、白血病で亡くなる二ヶ月前までの文章が掲載されている。
60年以上生きて来て、分かっていたつもりのものが、分からなくなって来たような気がする。でも生きている限り、動いている。動いている限り、何かが生まれて行くだろう、などと能天気な私。
あした天気にな~あれ!