2009.4.9

4日間行われた世田谷パブリックでのBATIK公演(叡の振付作品”バビロンの丘にいく”)楽日の翌3月30日早朝国分寺を出て、その日の夜フランスのア ンジェに着いた。4月1、2日と国立振付けセンター(CNDC)の劇場で叡のソロ公演『花粉革命』を行い、3日には日本から同行したスタッフたちが帰国 し、6日からCNDCでの叡の一ヶ月にわたるワークショップが始まっている。
夕食前、メール河岸を散歩した。もう7時をとうに過ぎているというのに、西の空にオレンジ色の太陽が不思議な輝きをして、河沿いの高台に位置するアンジェ 城の堅牢な石灰岩の城壁を照らしている。宇宙に貼付いたブルースカイ。純白の雲。復活祭を前にして漸く膨らみ始めた街路樹の新芽が、ひとつひとつくっきり と輪郭をあらわにして煌めいている。頭上から鋭い小鳥のさえずり。張りつめた空気に亀裂がはしる。時が動き、止まる。突然私のカラダに、懐かしい色、光、 響きが駆け巡った。30年前の私の初めてのヨーロッパ体験も、復活祭を前にした4月のことだった。それから5年間にわたる西欧の生活は、私に何をもたらし たのか?時空を超えて私の中に流れている光、色、空気、響き・・・。
これから3週間、言葉が通じないアンジェでどうしようかと、いささか心細かったが、まあいいだろう。
感覚が私に生命力を与えてくれる。