バーバラからの手紙

ニューヨークから戻って数日後、フライブルクに住むバーバラからパック郵便が届いた。開けると、中から木綿の大判のハンカチ3枚(淡いブルーと白の格子の地に濃紺の小さな花をあしらったもの。青と白を基調にした幾何学模様のもの。白地 …

選挙戦

いよいよ今日から衆議院選が始まる。秋晴れのさ爽やかな空気の中に、候補者たちの高らかな声が行き交うことだろう。 『枕草子』にこんな言葉があるーうちとくあじきもの。えせ者。さるは、よしと人に言はるる人よりも裏無くぞ身ゆる。— …

脳と身体

美術家の横尾忠則さんが、誰でも密かに抱えている自分の身体的欠陥に対してのコンプレックスのことを「脳を身体の支配下に置いた」ところから発生する「一種の思い込み」にすぎない。だから「脳が自分だと思う前に身体こそ『我なり』と認 …

あっぱれ、100歳! 

「90歳。何がめでたい」とは、佐藤愛子さんが書かれた本の題名だが、我が姑の君子さんは、今年5月でめでたく100歳を迎え、先月の敬老の日に、国から銀杯と安倍晋三首相の賞状・東京都から江戸漆器の箱と小池百合子都知事の賞状・国 …

昭森社の森谷さん

「春の訪れ」を書いてから、もう「秋の訪れ」が来てしまった。春から初夏、盛夏から晩夏。私は一体何をしていたのだろうか。 9月初め、横浜能楽堂での「左右左」公演が終わったので、久しぶりにアキラと神保町の岩波ホールに映画を観に …

春の訪れ 

「須賀敦子の手紙 1975-1997年 友人への55 通」を読んだ。須賀敦子さんの私信がそのままの形(便箋、絵葉書、AEROGRAMME、美しいお菓子の包み紙、切手etc)で印刷されていて、友に語りかける言葉がブルーブラ …

雪の翌日

昨日、東京に雪が降った。11月の東京の雪は、実に50数年振りだそうだ。そして今日、初冬の透明な青空に太陽が輝いている。11月25日はアキラの73回目の誕生日。  Tomb la neige  ゆきぃ〜はふる〜〜 あなたは …

雨あがりの散歩

2、3日前の夕方、日がな一日降り続いた雨があがり、湿気を含んだ蒸し暑さの中を、アキラと散歩に出掛けた。空一面に広がった灰色の雲の向こう側が、地球の陰に隠れようとしていた陽の光に照らされて、灰色の空一面が一瞬ピンクに染ま …

来年100歳になるキミコさんのお話

来年5月に、目出度く100歳を迎えるアキラのお母さんのキミコさんは、毎日朝と晩、今住んでいる老人ホームから私の携帯に電話をして来る。 「ちょっと、お声を聞きたくて。ここではお友だちがいないの。何時来て下さる?えっ?何日? …

いつも思うこと

東京国立近代美術館に行く道すがら、いつも思うことがある。国分寺から中央線で中野まで、中野で地下鉄に乗り換えて竹橋まで、とすこぶる快適な直線コース。ところが地上に出るまでの階段の、あとわずか2、3段という所で、手すりが突然 …