EURYTHMIE WS IN HP akira kasai 24 April

WS  4
ギリシャ神話の中で、鉄の鍛治技術を持つ神は「キュクロープス」と呼ばれていますね。ホメロスの「オデュッセウス」の中にも、この神は出てきますけれども、いずれも単眼の巨人です。単眼の人間のイメージは動物から人間へ至る過程を象徴しているようです。
なぜかといいますと、四つ足で歩く動物は、物質的には、両眼の目を備えていますが、内的には単眼だからです。例えば、近くのものは大きく、遠くのもが小さく見える空間遠近法は、両眼によって作られます。「遠い」「近い」のはっきりとしたり意識があり、その遠近感覚に従って、自分の体をその方へ動かします。動物はそのような意味では空間遠近法を有していません。「遠い」「近い」の感覚は、ないのです。周囲の世界の全ての者が、自分のカラダの中にあって、空間は全てカラダ中に出来上がっています。ですから、動物が歩いても、もちろん動物にそのような自覚は全くありませんけれども、言ってみれば自分の脳の中を歩いてるのと同じです。動物は外的には三次元世界に住んでいますが、内的には二次元世界です。ここから早速、練習です。
外側にある物を見る場合に、それは一つの「対象」を見るわけですけれども、その対象は眼という感覚器官を通って目の内側の網膜に映る像ですから、それは内側の「表象」です。
1  部屋の中を最初の4歩では、部屋を「対象」として見ながら歩きます。その時には「お」発声力とともに歩きます。次の4歩は「を」の発声力とともに歩きます。「おーーー」「をーーー「おーーー」「をーーー」と交互に対象、表象、対象、表象として歩くのです。これは一種の眼球による呼吸のようなものです。そしてこの呼吸に合わせて二つの母声を使い分けるのです。これを練習しますと体の感覚がしばらくするうちに変化していきます。そしてその変化をよーく感じ取れるまでほぼ、1、2分持続して歩きます。できるだけリズミカルに。そのうち次第に感動的な気分になっていきます。なぜ感動するかでいますと、動物 から人間存在に進化するからです。また逆を言えば、カラダの中の人間であったものが、カラダの中の動物性に目覚めるからです。
2  次元性でいいますと、対象として見る場合には、三次元性の明るい世界ですが、表象で見る場合には内と外が一つですから、やや暗い二次元世界に移行します。この次元性の変化に合わせて、「おーーーー」「をーーー」とズミカルに結びつけながら歩行します。
それまでの生活の中で、無意識のうちに生じる様々な感覚の変化や、呼吸の変化に対して、意識的に向かっていきますと、それまで融合していたものが一度、分裂して二つにわかれます。これは、母国語でいいますと、それまで意識しなかった文の結びつきや発声に関して、文法や音韻に目覚めることによって、分の結びつき方に対して意識的になります。これは自分の言語的生活に対する一種の「反省」です。自分の体に「反省の気分」を与えますと、体の中に「客観的な静けさ」が生まれてきます。この「を」「お」の交互の歩行においても、それと同じで、これを行ううち、にカラダ中がシーンと静まりかえってくるのです。この「静寂」は体が変化する上では、とても重要な瞬間です。
3 この「静寂」が訪れたら、すかさず第3番目の課題に移ってください。次は対象と表象に分裂した世界をもう一度意識の力で結び合わせるのです。3番目のリズムが入るわけです。四歩リズムは、変わりませんけれども、始めに対象の「お」歩行、次が表象の「を」歩行4歩、次に表象の「を」を、外の対象に重ねて「WAーーー」と強く発声力を流しながら4歩、歩きます。
「おーーー」「をーーー」「WAーーー」、この「WA---」の時には発声力を頭部と両手と両足と五つの方向に向かって強くナースのです。これを何度か繰り返します・・・・・・・・
第2回第3回そして今日の第4回かけて、「を「「お」の練習をいたしました。全体の流れをもう一度箇条書きにいたします。この練習は六つのカテゴリーから成り立っています。
1  「を」と「お」の発声力による力の流れと身体感覚。
2  四つ足でしっかり床を歩き回ることによる動物性の目覚め。
3  「をーー」は膝蓋骨と肩甲骨を通して外へ。「お」は両手及び上部の頭部の方に向けて発声力を流す。
4  「を歩行」と「お歩行」による、リズミカルな表象と対象の分離。
5  静寂。
6  「WA--」による融合歩行。
最後にWA声について一言。フランスの言語学者 エミール・ バーンヴェニスが王権 について面白いことを述べているのです。ヨーロッパの王権には2種類あって、神から実際に王権を授与された王と、王冠や王杖よ持つことによって、「形の上で王」になったものの違いについてです、誠に「王権神授」で王になった者は  WANAKS  の称号を持つと。
W+母声によって作られるコトバ例えば:ドイツ語のDas Wunder  奇跡
                         英語の  wonderfullyワンダフル winner勝利者
日本語では、「WAーーすごい!」とか  「WAーー面白いとか。」要するにW声なのです。W声は「世界」であるとか「我」であるとか、最も根源的な声ですね。