夏の終わり……リルケのことば

8月もあと僅か……とは言え、天気予報では、今後も相変わらず30度以上の日々が続くらしい。

わたしの子どもの頃の今頃は、夏休みの宿題に追われ………絵日記の空白を埋めるのに頭を悩ませたり………夕方一雨降って涼しくなった戸外に、近所の子どもたちが自然に寄ってきて………夏休み最後の線香花火をして遊んだり………たのしかったな。

コロナ禍から引き続き後期高齢者は不要不急の外出は控えるように、とはいえ、水平生活から垂直生活に戻りつつあるわたしは、朝の外歩きは欠かせない。暑い日中は、クーラーが適度に効いたキッチンで……本を読んだり………絵を描たり………周り中が忙しく働き回っている中で………なんと贅沢な時間を過ごしていることか!と思ったり………何もできない自分を思い、ひどく落ち込んだり………。

「人々のあいだに、またあなたとのあいだに、なんら共通に生き得る余地がないとしたら、事物に近く在(あ)るように試みて下さい、事物は決してあなたを見捨てることはないでしょう。そこにはまだ夜があるではありませんか、木々のあいだを吹き抜け……………それに子供たちはやはりあなたが子供だった時のまま、悲しくもまた幸福でいますよ。-そしてあなたの幼年時代のことを思い出されれば、あなたはまた彼らのあいだで、孤独な子供たちのあいだで生きればいいでしょう。………」

リルケの『若き詩人への手紙』(高安国世訳)の一節。赤鉛筆で線が引いてある箇所を、今日もまたを読んた。

最初に読んだのはいつ頃だったのか? 赤や青や紫の線がいっぱい引いてある。今日は何色の線を引こうかな………。わたしの孫と同い年のような歳のリルケのことば。いつも新しい出会いがある。