長男のチカシから「お彼岸だからお墓参りに行ったよ」というLINEがきた。笠井家と高橋家の墓石の写真が添付されている。ありがたい。おじいちゃんたち、おばあちゃんたち、孫の来訪にさぞ喜んだろう!(それに引き換え、息子と娘の親不孝には呆れているだろうなぁ)
かつて私が長いこと鬱病で闇の中で生きていた。その頃のわたしの唯一の友はモルモット(次男のレイジがどこかで拾ってきた⁉︎)だった。白と薄茶のツートンカラーの小さな可愛い小動物を「めあ」と名付けた。「めあ」とすぐ仲良しになった私は、息子たちの面倒(お弁当作りとか洗濯とか)を全くみないで、木箱でつくった「めあ」の住処を毎日せっせと掃除して清潔にして、野菜や果物の残りを食べさせた。数年を一緒に過ごした後、ある冷たい冬の日の朝、毛布を敷いた木箱の中で、この可愛い小動物は冷たくなっていた。鬱病やみの私は深い悲しみの塊りになって「めあ」のために何もできなかった。チカシは中庭に小さな穴を掘り小動物を埋葬した。そして「海生(うみお)の墓」と書いた木片をたてた。以来、我が家をめったに訪れないチカシは、来ると必ず冷蔵庫から野菜を少し取って「海生の墓」に供えていた。
およそ12年前、古くなった家を建て替え、中庭が新しくなった。「めあ」は既に大地に還っていた。
天使館の2階に住むミツとナオカの家族チャボの姉妹が死んだ。ふたりは悲しみを堪えながら、ヒメツバキとクチナシの木の下にチャボ姉妹を埋葬して、純白の百合の花をお供えしていた。
ドイツ語で、モルモットのことを「Meerschweinchen 」(メアシュバインヒェン・海の子豚ちゃん)という。だから、わたしの別名は「めあ」だと密かに決めた。
Meerschweinchen /海豚/🐬/火を司る精霊…………闇の中で生きていた私を温めつづけた「めあ」。
彼岸の入り……死者たちのことを想う一日。