私の速度で………。

記録的に猛暑が続いた今年の夏(もう九月半ばというのにまだ続いている)の間、1日も休まずに朝歩きしたのよ………と、人にいうと………みんな、すごい意志力!………と褒めてくれる………確かに今思うと………よくやったよね ヒサコサン………と自分を褒めてやりたいけど………そう単純な問題ではない………もし夏の間朝歩きしなかったら………いつものナマケモノのヒサコさん………今頃確実に歩く力を失い………水平生活に後戻り………もはや垂直生活は夢物語に………。

と、ここまで書いた時「金鱗の鰓をとり置く術」のワークショップを終えたアキラが、「受講者がヒサコサンにとくれたよ」とまん丸い黄金色のダリアを2本持ってきくれた。花瓶にさしてテーブルの上に置くとキッチンが急に明るくなった。ジィージィージィーと中庭の闇の中で虫が鳴いている。

暮れの『ショパンを踊る』いずみホール公演の、来春のKAAT芸術劇場大ホールで行うモーツァルト『魔笛』の二つの稽古が、並行して始まった。何もできない私の役は、キッチンに座って、忙しく出入りするダンサーたちの交通整理係。もう何年この役をやってきただろう。やっぱり、自分を褒めてやろう「よく暑い夏を乗り切ったね。ナマケモノのヒサコさん」と。

歩く、見る、聴く、感じる、私の速度で。おやすみ😘