藤村の『夜明け前』

午前中、多摩医療総合センターの整形外科を受診………1年に一回の頸椎の経過観察のための診察………レントゲン撮影の後、医者と面談………大きなパソコンに映るわたしの頭部を見て「去年からあまり変化はありませんね」と云われ「ではまた一年後に」とパソコンの脇のプリンターからスゥーと出てきた予約票を受け取りながら………ふっと思う………また、ここにこられるかしら?と。

タクシーのシートの背に重たい頭をあずけると、フロントグラスの向こうにお昼前の真夏の青空が広がり、真っ白な雲が浮かんでいるのが見える………もう何度同じような景色を見たことか………懐かしい武蔵野の樹に囲まれた木造建の都立府中病院………今は見違えるように立派な大きな総合病院になって………うとっとして気がつくと、タクシーは我が家の玄関の前に着いていた。

日が落ちて闇夜になっても時が止まったかのように、じっとりと蒸し暑い。iPadに入れた青空文庫の藤村の『夜明け前』を読了。読むたびに私も一緒に時代の大変革の渦に巻き込まれていく森林に囲まれた馬籠の村人の一人になっていた。

果たして、1868年の明治維新で……日本の夜は真に明けたのだろうか?